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粗大ごみの有料化に関する実証分析 研究誌「会計検査研究」 | 会計検査に関する調査研究 | 外部との交流活動 | 会計検査院 Board of Audit of Japan

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(1)

粗大ごみの有料化に関する実証分析

赤 松 礼 奈

(徳山大学経済学部専任講師)

1.

はじめに

本研究は,粗大ごみの回収有料化による粗大ごみ排出量削減効果を検証する。自治体の多くが近年ごみ 収集を有料化し,有料化による排出量削減効果について多数の研究蓄積がある。しかし,それらの研究の ほとんどは,粗大ごみ以外の,家庭で排出される生活系ごみを対象としており,筆者の知る限り,粗大ご みの有料化による効果についての研究は不十分である。粗大ごみは,生ごみのようにため込むことのでき ないごみと違い,排出タイミングの調節や処分方法の選択など,消費者により裁量の余地がある。生活系

2017年6月14日受付 9月21日掲載決定

2008年3月桃山学院大学経済学部卒業後,2010年3月大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了,修士(応用経済学)取得,2015年5

月大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程退学。2015年4月から徳山大学経済学部専任講師,現在に至る。

本稿の作成に当たり,恩地一樹先生(大阪大学),川瀬晃弘先生(東洋大学)より大変有益なコメントをいただいた。記して感謝申し上げる。 残された本稿における誤りは全て筆者の責任に帰するものである。

梗 概

本稿は,大阪府内における粗大ごみ収集の有料化が排出量に与える効果を定量的に捉えることを目的

とし,1998-2013年の市町村パネルデータを用いて分析を行った。限定された地域の調査ではあるが, 42市町村と一定数の対象が確保され,また,収集手数料の変化などの有料化状況を正確に把握できるた め,粗大ごみの排出量に与える影響を検証することができる。さらに,有料制と無料収集の自治体が府 内に併存し,導入時期に差異があることが活用できるため,差分の差推計が可能である。収集手数料を 代理する変数として,任意の3種類の粗大ごみの廃棄を想定しその費用の1㎏当たりの収集手数料を用 い,頑強性の確認のため,他の指標も用いた。主要な説明変数は収集手数料,コントロール変数は先行 研究にならい,昼間人口比率,平均世帯人員,一人当たり所得とした。推計の結果,有料化の導入が粗 大ごみの排出量を有意に低下させることが示された。価格弾力性はおよそ-0.3となった。

(2)

ごみ排出量に関する先行研究の大半は,有料化は排出量削減に有効であると報告しているが,ごみの性質 の違いがあるため,それらの知見にどこまで外的妥当性があるか不明である。

近年ごみの総排出量と一人一日当たりのごみ排出量はともに減少傾向にあるが,環境省が発表している

「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成 27 年度)について」(2017)によると最終処分場の残余年数も

17年連続で減少しており,2015年度末の最終処分場の残余容量は1億404万㎥で前年度より1.7%減少し

ている。残余年数は20.4年である。わが国は国土が狭く最終処分場が限られているためさらなるごみ排出

量の削減に取り組む必要がある。特に粗大ごみは破砕され埋め立て処分される割合が高いごみであるが,

他人へ譲渡したり分解して再利用したりするなど廃棄物とならないように工夫できる余地があるため,ご

みの総排出量削減のため着目すべきである。近年多くの自治体でごみの回収は有料化され,粗大ごみ回収

にも手数料がかかる。しかしごみ削減のために有効な政策である有料化の効果についての検証は粗大ごみ

以外の生活系のごみでしかほとんど行われてこなかった。

粗大ごみ有料化は自治体ごとに多様な方法がとられており,導入時期などを各自治体に問い合わせる必

要があるなど,整備されたデータが存在しない。そこで本研究では粗大ごみの収集手数料の最小価格と1

㎏当たり排出手数料の調査を大阪府内の市町村に限定することで実行可能性を確保する。大阪府に着目し

たのは府内市町村の政策が有料化効果の特定に必要な準実験的差異を提供するためである。本研究では収

集手数料の最小価格と1㎏当たり排出手数料を用い1998年から2013年までの大阪府421)市町村のパネル

データを構築するが,サンプル期間初年度の1998年の時点で42市町村のうち8市町村が粗大ごみ有料収

集を導入していた。サンプル期間中,随時有料化が施行され,2013年には31市町村が有料収集を行って

いた。このように有料化と無料収集が府内に併存し,さらに導入時期にも差異があることを活用し,差分 の差推計(difference-in-differences estimation以下,DID推計)を行う。有料化効果の測定方法としては,有

料化前後の時系列的比較が考えられるかもしれない。しかし,前後の比較のみでは,時系列的な交絡要因

が懸念されるため,有料化効果を正確に測定できるかどうか疑問が残ってしまう。DIDでは,有料化した

自治体をトリートメントグループと捉え,有料化未導入の自治体で時系列的交絡要因を制御するコントロ

ールグループとして用いるため,時系列的比較の問題点を緩和することができる2)。まず粗大ごみ1 ㎏当

たり排出手数料で推計し,頑強性チェックのため収集手数料の最小価格を用いた。

推計モデルの構築には,一般廃棄物の有料化の研究を参照した。また,自治体は有料化開始時期を住民

に周知するためにも一定期間を経たのち開始するため,ごみの駆け込み排出需要がおこりうる。「駆け込み

効果」を捉えるためのモデルでは,導入時期の境目を示すダミー変数を使用した。

推計の結果,有料化の導入が粗大ごみの排出量を有意に低下させることが示され,価格弾力性は-0.30

~-0.39となった。ごみの減量効果を分析している先行研究と比較すると,碓井(2003)は価格弾力性が

-0.119,中村・川瀬他(2007)は価格弾力性が-0.025,中村・川瀬(2011)は価格弾力性が-0.017であ

ると報告している。家庭系一般ごみよりも粗大ごみには代替的な排出手段が多いため,代替効果により,

これらの先行研究より高い推計値になったと考えられる。

粗大ごみの減少は,しかし,表面的なものかもしれない。たしかに自治体の回収量は減ったが,これに

より必ずしも消費者による排出が減ったとはいえない。消費者に代替的な排出方法があるためであるが,

本研究では事業活動で出たごみである事業系ごみへの混入の可能性を検証した。予備調査の結果から,こ

1) 1998年当時大阪府内の市町村数は44であったが,2006年に堺市が美原町を吸収合併した。合併以前の収集手数料情報が不明なため,サンプ

ルから堺市と美原町を除外した。

2)

(3)

れらはデータ上観測できない規模であると考えられる。

本論文の構成は以下のとおりである。次節の先行研究で,ごみの有料化の減量効果と不法投棄の先行研

究について概観する。第3節ではデータの内容と構築方法を説明し,推計モデルを提示する。第4節で推

計結果を示し,第5節でまとめと今後の課題について述べる。

2.

先行研究

経済学においてごみ処理研究の先鞭をつけた研究としてFullerton and Kinnaman(1996)がある。Fullerton and Kinnaman(1996)は,1992年のバージニア州のシャーロットビルでのごみ収集手数料の有料化(ステ

ッカー方式)導入によって,ごみの排出重量が14%減少し,リサイクル重量が16%増加したことを明らか

にした半面,ごみの減少分の1割ほどが不法投棄に転換されたことを明らかにした。廃棄物処理や不法投

棄は様々な国と地域で深刻な環境問題となっており,特に工学系の研究者達により研究されてきたが,

Fullerton and Kinnaman(1996)の研究を契機に,経済学者による価格メカニズムを応用した政策評価が盛

んになり,さらに人の行動変化という観点から心理学でも注目されている(Thøgersen, 2003)。埋め立て地

の容量に制限がある現状において,ごみ排出量をいかに削減するか,不法投棄誘因とどのようにバランス

をとるべきか,経済学からのアプローチは政策議論に貢献しうると考えられる。

ごみ収集手数料の有料化導入の効果を検証した研究はFullerton and Kinnaman(1996)をはじめ国内外に

おいて実証研究の蓄積が深く,Kirakozian(2016)によるレビューが詳しい。おおむねどの研究においても,

有料化の導入やごみ処理手数料の値上げは,限定的ではあるが,家庭ごみ排出量を減少させるとしている。

粗大ごみについてはこれら通常の家庭ごみには含まれず,以下に概観する研究の対象ではない。

Kirakozian(2016)は,リサイクル促進を目的とする複合的政策の有効性を検証した経済学の実証研究を

レビューし,リサイクル促進政策の類型として,税金(有料化),補助金,デポジット制度の3タイプを挙

げている。例えば,ステッカー方式,つまりごみ袋の大きさに応じて有料ステッカーを貼る手段は,税金

というカテゴリーに分類されている。有料化のごみ排出量削減効果は,レビューされた論文の大半で確認

されている。生活系廃棄物の実証研究で,海外論文の中には世帯レベルのデータを使用している研究が見

られる。

Allers and Hoeben(2010)はオランダの458自治体の10年分のデータを使ってごみ収集の有料化の減量

効果をDIDで推計した。有料化の効果は課金制度に依存し,体積に対して価格が決まる課金制度より,重

量に対して価格が決まる課金制度の方が,減量効果があると報告している。

日本を対象とした研究では地域別排出量を一人当たりに換算したデータが用いられているが,同様の結

果が報告されている。英文での日本を対象とした研究にSuwa and Usui(2007)とUsui and Takeuchi(2014)

がある。Suwa and Usui(2007)は,1997年の3,208市町村のクロスセクション・データを用い,ごみの減

少とリサイクル促進の関係についてSeemingly Unrelated Regression(SUR)で推計した。自治体によるペッ

トボトル回収は可燃ごみ排出量の減少を導き,ごみ袋価格はペットボトル回収を増やすことが報告されて

いる。Usui and Takeuchi(2014)は,665市町村の8年分のパネルデータを用い,有料化導入のごみ排出量

とリサイクル量への影響,さらに効果の持続性を検証している。自治体平均所得別にグループ分けし分析

した結果,高所得グループにおいて長期・短期ともにごみ排出は減少するがリサイクル量は有意に反応せ

ず,低所得グループにおいては長期にわたってリサイクル量は増加するがごみの減少は持続しないとして

(4)

14%の減量効果があり,都市部よりも農村部で減量効果が大きいと報告している。この他,碓井(2003),

中村・川瀬 他(2007),中村・川瀬(2011)がごみ袋価格の効果を検証している。碓井(2003)は,従量

制有料化指定ごみ袋の価格の全国3,230市町村のデータを用い,価格弾力性は-0.119であると報告してい

る。中村・川瀬 他(2007)は,指定ごみ袋10リットル当たりの価格が1円上昇すると1.5%のごみ減量効

果があり,これを平均価格1.708で評価すると価格弾力性は-0.025となると報告している。また,中村・

川瀬(2011)では,指定ごみ袋10リットル当たりの価格が1円上昇すると1.6%のごみ減量効果があり,

価格弾力性は-0.017であると報告している。

これらの指定ごみ袋の価格の減量効果についての先行研究から,粗大ごみ排出の有料化にも減量効果が

あることが予見されるが,粗大ごみと生活系可燃ごみの性質の違いから価格弾力性が同一であるとは考え

にくい。そこで本研究ではこれらの先行研究の手法を応用しながら,研究蓄積の薄い,処理手数料の粗大

ごみ減量効果を検証に応用する。

粗大ごみに関する有料化の効果を検証した先行研究は少なく,特に排出価格の減量効果を計量的に検証

した先行研究は,筆者の知る限り存在しない。日本における粗大ごみについての早期の実証研究に,市町

村に対しアンケート調査を実施した松藤・松尾 他(1998)がある。アンケートは,粗大ごみの不定期収集

を行う自治体(195市町村)と無作為に抽出された定期収集を行う自治体(31市町村)に対して行われ,

収集品目,収集除外品目,収集方法,収集場所,収集頻度,収集量の実績値などが調査された。有効回答

が得られた126市町村の粗大ごみ収集方式と排出量の関係を統計的に検証し,申し込み制かつ有料方式に

移行することでごみの量が減少した市町村もあるが,有意な効果はないと報告している。

Curran, Williams et al.(2007)によると,イングランドでは公的なリサイクルセンターか地方自治体が粗大

ごみの収集主体であり,354 の公的なごみ収集業者が存在している。粗大ごみの収集手数料,収集プロセ

スや収集した品目の再利用など収集システムの決定は自治体ごとに自由裁量であり,全く同じ収集システ

ムはないといわれる。およそ28%の自治体では収集料金は無料で,その他の自治体では収集個数によって

料金が決まる。一般的な料金は3品目につき18ポンド(1ポンド=144.4円とすれば2,599円)であり,今

回用いた大阪の市町村で任意の3つの家具を捨てることを想定した価格は720円から3,000円で最頻値は

1,500円であるので大阪の自治体より高めの設定である。このためもあってか約43%の自治体は低所得の

住民からは料金を徴収しないか割引料金で収集している。Curran, Williams et al.(2007)は,イングランドの

3市の1,450世帯に対して粗大ごみの処分の仕方についてのアンケート調査を行い,およそ60%の住民が

リサイクルセンターに無料で自己搬入し,19%が有料の公的な収集サービスを利用したと報告している。

このように,価格に左右されることが示唆される可燃ごみとは違い,消費者は粗大ごみの排出方法を選択

できる。通常,粗大ごみ収集は申し込み制であり,待ち時間は7日から10日ほどである。田舎で富裕層の

住む自治体においては料金を徴収しているところが多く,粗大ごみの収集料金はサービスの質が高いとこ

ろほど高くなるというよりも,むしろ人口密度などサービス提供のためのコストがより高いところほど高

くなる傾向がある。

以上のように,海外においても公的機関による粗大ごみ収集サービスについての研究蓄積は限られてい

るが,その要因として,イギリスなど粗大ごみ研究が進んでいる国においても自治体による収集が限られ

ていることが考えられる。粗大ごみが排出されるのは必ずしも毎月や毎年というわけでなく,主に引っ越

しの際に排出され,その処分方法においても,処理施設への自己搬入,チャリティー団体や第三セクター

への寄付,カーブーツセールやガレッジセールやインターネットオークション,また,不要となった家具

(5)

ど,自治体が必ずしも主な収集主体ではない。また,回収料金についても厳密に定まっていないため統計

分析に不向きである側面もある。これに対し,日本では粗大ごみ処分に自治体が強くかかわり,自治体が

価格表を定めているため,研究上の利点がある。主に電話申し込みによる自治体回収が多いが,定期回収

を行っている自治体も少数ではあるが存在する。

ごみの有料化やごみを捨てる手段について議論する際に必ず懸念されるのが不法投棄の問題である。不

法投棄については多くの国で環境問題として重要な問題とされ研究されている。

Hodsman and Williams(2011)は,粗大ごみの不法投棄要因を特定するため,イギリスのハンプシャーで

アンケートを行い,粗大ごみの回収手数料と不法投棄の関係を検証した。不法投棄は人口密度と犯罪率の

高い地域や,賃貸居住割合の高い地域で多発している。不法投棄の要因は,合法的な処分方法のコストが

高いこと,不法投棄阻止政策の不足だとされる。また,一般家庭がごみ処理に関する法的な義務や責任に

ついて無関心であること,教育が必要であることが指摘されている。また,イギリスでは不法投棄(フラ

イ・ティッピング)を把握することを目的とした「フライ・キャプチャー」という不法投棄についてのデ

ータベースが公表されており,このことからも不法投棄の深刻さがうかがわれる。不法投棄は国土汚染な

ど環境問題であり,周辺地域の犯罪を誘発したり投資の妨げになったりする社会問題でもある。

Sigman(1998)は廃油に限定して不法投棄の実証研究を行い,処分価格の上昇は不法投棄を促進すると

している。Ichinose and Yamamoto(2011)は,都道府県レベルの不法投棄データを用いて,ごみ処理施設

の供給と不法投棄の頻度の関係について分析し,厳罰化よりも中間処理施設の供給が不法投棄阻止に効果

的だという可能性を示唆している。Šedová(2016)はスロバキアの不法投棄の理由について77州のデータ

を使って検証した。所得と不法投棄の関係は正の相関があり,貧困は不法投棄にマイナスの影響を与える

と報告している。不法投棄量についての整備されている日本のデータは,都道府県別不法投棄件数が存在

するが,その内訳に産業廃棄物が含まれており,また,粗大ごみ有料化状況は市町村によって差異がある

ため,都道府県レベルのデータを用いた有料化効果の特定化は困難であると予想される。

3.

推計モデル

3.1

モデル

指定ごみ袋価格の減量効果の研究にならい,手数料価格の粗大ごみ減量効果を明らかにするため次の推

計式を用いる。

ܱ=ܲܦܪܫ (1)

DIDの参考文献はアングリスト・ピスケ(2013)に詳しい。ここで,被説明変数ܱは対数変換した粗大

ごみの排出量である。説明変数ܲは手数料で,有料化未導入の市町村は0,有料化以降は手数料の値をと

る。基本的なDID推計式ではコントロール群ダミーと政策変化以後ダミーの交差項は政策変化以降は1の

値をとり,交差項の係数で平均的政策効果が測定される。(1)式には市町村固定効果(݉)と年次効果(݇

が含まれるため,DID推計の応用形であり,手数料の市区町村間変動を政策効果測定に活用できる利点が

ある(Card and Kruger, 1994)。なお市町村が有料化の導入を決定するためサンプル・セレクション・バイ

アスが懸念されるかもしれないが,固定効果モデルを推計に用いているため,サンプル期間中変化のない

(6)

粗大ごみの排出量に影響を与えうる他の政策として,2001年4月に全国で施行された「特定家庭用機器

再商品化法(家電リサイクル法)」がある。家電リサイクル法施行前はエアコン,テレビ(ブラウン管),

冷蔵庫,洗濯機を粗大ごみとして市町村が回収していたが,同法施行後は自治体での回収はせず,これら

の家電製品を購入した販売店か買い替えの際販売店にリサイクル料金を支払い引き渡すこととなった。ま

た,2004年に回収品目に冷凍庫が,2009年には薄型テレビと乾燥機が追加された。同法の影響により,全

市町村において排出量の減少が予想されるが,年次ダミーは家電リサイクル法の効果を制御する。

このほか有料化を導入していない自治体で,一回の収集につき3点までといったような数量規制をして

いる自治体がある。有料化を導入していない自治体では基本的に月一回の収集であるが,大東市では一回

につき6点まで(2007年に導入),東大阪市は2004年にそれまで5点までの数量規制が10点までに緩和

され,交野市では2001年に収集一回につき4点までとなった。サンプル期間中,大東市と交野市の2つの

自治体が数量規制を導入したが,もし仮にこれらの自治体が数量制限の導入で粗大ごみ排出量を削減した

場合,有料化自治体との差異が縮小するため,DID推計において係数は過小評価となる可能性がある。こ

のことを考慮しトリートメントグループとコントロールグループの制御変数の平均の差をt検定で確認し

た(表3)。

また,ܲは対数変換3)されているため,ܲ

の係数であるߙから,価格弾力性を直接推計できる利点もあ

る。手数料に関しては頑強性の確認のため,1kg当たり排出手数料(モデル1~4)と最小価格(モデル5)

を用いた。制御変数は以下を用いた。ܦは昼間人口比率で,都市化の度合いを捉える変数である。都市化

の度合いの変化による排出量の変化を制御するための変数で,都市化するほどごみ量は増えると考えられ

るため予想される符号は負である。ܪは平均世帯人員である。世帯人員が多いと,世帯内で耐久財は共有

されることによりごみの量は減少すると考えられる一方,世帯が大きくなると家電や家具も大型化するた

め,共有効果が大型化効果を上回る場合,符号は負になる。ܫは一人当たり所得である。所得が多ければ

それに比例して消費も多くなる,ということは耐久財の買い替えの頻度も高くなる可能性があるため符号

は正になる。݁は誤差項では定数項である。誤差項の推計には,系列相関が引き起こしうるバイアスを

制御するために,Bertrand, Duflo et al.(2004)が推奨する方法を採用し,市町村レベルでのクラスタリング を行った。

さらに,有料化導入の直前に発生することが予想できる「駆け込み排出」の効果を考慮したモデル2と

して次の(2)式で推計をした。

ܱ=ܲܦܪܫܨ (2)

(2)式は新たに有料化が導入された年を1,それ以外で0をとるダミー変数ܨ(2種類,モデル2.1,2.2)

を加えた。このダミー変数には2種類の定式化を考慮した。第1の定式化はまず単純に,有料化が導入さ

れた年に1を,それ以外では0とした。第2の定式化では暦年内における有料化の導入時期を考慮した。

有料化の導入月は,年明け直後の1月や年度の始まりの4月とは定まっておらず,12月や1月,7月など

様々である。これに対し排出量データは暦年ベースである。駆け込み排出が発生しているとすれば,有料

化導入直前に排出量が増加するはずであるが,1 月に有料化を導入した市町村では前暦年に排出量が増加

することが予想される。一方,12月の場合,同一暦年内における増加が予想される。分析では年次データ

3)(1)式で用いられる説明変数のうち手数料

ܲ௜௧については価格弾力性を推定したいため対数変換した値を用いるが,それ以外の説明変数は対数

(7)

を使用しているため,導入された月が年の前半なら,導入年の前の年を1,導入された月が年の後半なら, 導入年を1,それ以外を0として定式化した。各市町村の導入時期については表6に示した。

次に,いったん減量した排出量が有料化導入後,リバウンドしたかどうかをみるため導入1~3 年後ダ

ミーを入れて分析をした(モデル3)。(1)式と同様,年次ダミーを入れて,Bertrand, Duflo et al.(2004)

が推奨する方法を採用し,市町村レベルでのクラスタリングをし,固定効果モデルで推計した。推計式に

は,導入1年後ダミーܨ ,2年後ダミーܨ ,3年後ダミーܨ を追加し以下のようになった。

ܱ=ܲܦܪܫܨ+ߙ ܨ +ߙ ܨ +ߙ ܨ +݉(3)

また,事業系ごみに混入されているかどうかを確認するため,被説明変数を一人当たり事業系ごみܤ

代えて,モデル4として(4)式を推計した。

ܤ =ܲܦܪܫܨ (4)

3.2

データ

この研究で使用する主なデータは環境省が実施する『一般廃棄物処理実態調査』の集計結果である。こ

の調査は環境省が毎年全国市区町村に対して行っているものであり,本研究では大阪府について集計され

ている統計表を使用した。『一般廃棄物処理実態調査』は中村・川瀬 他(2007)など生活系ごみの研究で

用いられている。そのほか,コントロール変数として,所得に関するデータは『市町村課税状況等の調』

を用いた。昼間人口比率は5年ごとに実施される『国勢調査』を用い,調査が行われなかった年のデータ

は内挿法(線形補完)で補った。平均世帯人員については『住民基本台帳に基づく人口,人口動態及び世

帯数調査』を用いた。

使用する変数はこれまでの有料化の減量効果の先行研究にしたがって,被説明変数に一人当たりごみ排

出量(対数),地域ごとの特性をコントロールするための制御変数として昼間人口比率,平均世帯人員,一

人当たり所得を用いる。排出手数料(対数)と有料化導入時期については各市町村のホームページを参照

し,公表されていない場合,各市町村の窓口に電話確認を行った。粗大ごみ排出手数料は品目ごと,サイ

ズごと,依頼件数ごとなど,それぞれの市町村で異なっており,また品目の区分やサイズの測り方に関し

ても様々である。そのため手数料の体系をグループ分けするのは困難である。そこで排出手数料の指標に

は任意の3種類の家具(シングルベッド,2人掛けソファ,たんすの合計84㎏相当)を捨てることを想定

しその際にかかる費用を1㎏当たりに計算しなおした手数料を主な指標とした(モデル1~4)。粗大ごみ

の回収価格は品目や大きさによってばらつきがあり,品目の分け方や大きさの測り方とそれに伴う価格の

決まり方なども市町村によって大きく異なるため手数料価格を単一の指標として捉えるのが難しいが,任

意の3種類の家具を捨てることを想定して作成した指標の利点としては,複数種の粗大ごみを基にするこ

とにより料金体系の一定の目安となることである。頑強性チェックのため,粗大ごみの回収価格として単

一の粗大ごみを排出する際にかかる最小価格を用いて分析を行った(モデル5)4)。任意の3種類の家具

捨てることを想定し作成した1kg当たりの排出手数料と単一の粗大ごみを排出する際にかかる最小価格の

2種類の手数料価格を設定し分析に用いることで頑強性を確保している。またこの2種類の粗大ごみの回

4)任意の3種類の家具を捨てることを想定し作成した1kg当たりの排出手数料と単一の粗大ごみを排出する際にかかる最小価格の相関係数は

(8)

収価格の相関係数は0.41とあまり高くないため,互いに頑強性チェックの指標として妥当性がある。

使用するデータは1998年から2013年の16年分の大阪府の42市町村パネルデータでサンプルサイズは

672である。表1にデータの出所と変数の作成方法を,表2に記述統計量を示す。表2の記述統計の一人

当たり粗大ごみ排出量の最小値は0となっているが,これは守口市の2003年,2004年,2005年と摂津市の

データである。守口市と摂津市のデータを除外しモデル1の推計を行ったが結果はほとんど同じだった5)

4.

推計結果

予備的分析として,分析期間内に有料化した自治体(トリートメントグループ)の一人当たり粗大ごみ

排出量の中央値を,制度改正年と前後3年分プロットした(図1)。分析期間中に価格が変化した自治体は

トリートメントグループなので実線で,分析期間中に価格が変化しなかった自治体はコントロールグルー

プなので破線で表した。3 年前を基準年次として指数化している。それ以外の自治体(コントロールグル

ープ)については平均移行年である2006年と前後3年分プロットした。図1で有料化の後,トリートメン

トグループでは有料化導入の直前年にやや増加傾向がうかがえる。コントロールグループでは,2006年以

降,やや排出量が減少しており,タイム・トレンドによるものと解釈できる。それと対照的に,トリート

メントグループでは有料化以後,排出量は大幅に減少しており,3年前の40%以下にまで減少した。この

比較から,有料化によるごみ削減効果があると推測される。

どちらのグループも図1の0年まではほぼ変動なく似た推移をしていることから,DID推計に必要な平

行トレンドの仮定は妥当のように見うけられる。平行トレンドの仮定とは,もしトリートメントグループ

で有料化が実施されなかった場合,アウトカムである粗大ごみの量はコントロールグループと平行なトレ

ンドを描くというDID推計の前提条件である(Card and Kruger, 1994)。DIDの目的はトリートメントの効

果を測ることであるが,もしトリートメントグループにトリートメントがない仮想的なアウトカムとトリ

ートメントが施されたアウトカムを比較できるのであれば,これらのアウトカムの差からトリートメント

効果を測定できる。しかし仮想的なアウトカムをデータとして観測することはできないため,次善の手段

として,コントロールグループが比較対象として用いられる。トリートメントグループとコントロールグ

ループのアウトカムの時系列的変化が均質な推移を示している場合,研究デザインの妥当性を支持すると

解釈できるが,トリートメント以前になんらかの理由で両者のトレンドに乖離が生じている場合,有料化

(トリートメント)の効果だけでなく,それ以外の効果も含むバイアスのかかった推計結果となることが

憂慮される。つまり平行トレンドの仮定が成立しなければ,有料化による減量効果を過大もしくは過少に

評価することになるが,この仮定の妥当性については後で統計的に検証する。

推計結果を表4と表5に示す。排出手数料の係数であるߙ

ଵは,モデル1,モデル2,モデル3ともに5%

の有意水準で有意に負となった。生活系ごみと同様,粗大ごみの有料化にも,減量効果があることがわか

る。この係数は弾力性の推計値であるが,手数料価格の1%増加が,粗大ごみ排出量の0.30%~0.39%減少

につながると示している。生活ごみの価格弾力性を推計した日本の先行研究では,碓井(2003)は価格弾

力性が-0.119,中村・川瀬 他(2007)が-0.025,中村・川瀬(2011)が-0.017との報告がある。本研究

の価格弾力性の推計値は約-0.3であり,これら3つの先行研究と比較すると高い値だといえよう。差が見

5)守口市と摂津市をサンプルから除外しモデル1を推計した結果,1kg当たり排出手数料が1%有意水準で負に有意で係数は-0.334となり,平

(9)

うけられる主な要因は,先行研究で分析対象のごみはいずれも粗大ごみでないことが挙げられる。粗大ご

み排出手数料の価格弾力性が比較的高い理由として,代替効果が考えられる。粗大ごみ以外のごみについ

ては自治体収集以外の代替的な処理方法は少ない。それに対し,粗大ごみの処分方法は多様である。知人

への譲渡,リサイクルショップへの売却,ネットオークションへの出品など,多くの代替的な処分方法が

ある。また,不法投棄などの非合法的手段や,保管による排出の先延ばしなどの選択肢もあるため価格に

比較的弾力的であることが予想される。本研究の価格弾力性推計値が比較的高いのは,消費者の選択肢の

多さを反映していると解釈できる。

モデル3ではリバウンドが起こっていないかを確認するために有料化導入1~3年後ダミーを入れた。そ

の結果,1年後ダミーだけが有意に正となった,よって1年後にリバウンドすることがわかった。

粗大ごみの有料化によって,事業系ごみへの混入が生じるかもしれないが,この可能性をモデル4(表5)

で検証した。ここではモデル1と同じ説明変数を用いながら,被説明変数を(住民一人当たりの)事業系

ごみ排出量に代えて推計した。排出手数料の係数が有意に正であれば,事業系ごみへの混入があると示唆

される。推計の結果,当該係数は正であるが統計的に有意でない。粗大ごみ有料化による事業系ごみの混

入は統計的に検出されなかった。

平行トレンドの前提が満たされているかどうかを確認するため,導入前の年に1,それ以外を0とする

導入前ダミーを,モデル1に追加し推計した(表5のモデル6)。推計の結果,導入前ダミーの係数は有意

でない。予備的検証でも両グループの平均的な排出量は有料化導入前まで近似した動きを示していたが,

統計的にもトリートメントグループとコントロールグループで導入前には有意な差がないことが示された。

よって平行トレンド仮説は妥当であると判断するのが妥当であろう。

5.

まとめ

本稿では,市町村パネルデータを用いて,大阪における粗大ごみの有料化が粗大ごみの排出量に与える 影響を分析した。有料制と無料収集の自治体が府内に併存し,導入時期に差異があることを活用し,差分

の差推計分析を行った。有料化状況を代理する変数として粗大ごみ1㎏当たり排出手数料と収集手数料の

最小価格を用いた。推計の結果,有料化が,粗大ごみの排出量を有意に低下させることが示された。価格

弾力性は約-0.3となった。また,有料化導入前に駆け込み排出と導入後のリバウンドが起こっていること

が確認された。

本稿の分析は,粗大ごみの排出量に対して有料化は強く影響していることを示した。しかし,これをも

って有料化は成功であったと単純に解釈できない。減ったごみはリバウンドという形で排出のタイミング

を変えて排出されたのかもしれず,また,不法投棄されたのかもしれない。このため,より正確に有料化

の効果を理解するためには,今後,どのような代替効果がとられたか分析する必要がある。また,結果の

外挿性を検討するためにも,全国市区町村の価格データを収集し,粗大ごみの価格弾力性を測定すること

も今後の課題としたい。さらに粗大ごみの価格として,本稿では任意の3品目を廃棄することを想定しそ

の1kg当たりの価格を用い,単一の粗大ごみを排出する際にかかる最小価格を頑強性チェックのために用

いたが,別の品目バスケットを設定したり,品目の数を増やしたりして,より現実に近い粗大ごみの価格

に関する指標を作成することは今後の課題である。これらの分析が進むことで,ごみの減量のためにどの

ような政策が効果的であるかが明確になり,持続可能な廃棄物政策を考えるためのエビデンスを提供でき

(10)

図1.一人当たり粗大ごみ排出量の推移

(資料)「一般廃棄物処理実態調査」より作成。

表1.データの出所と変数の作成方法

変数名 単位 作成方法 出所

一人当たり粗大ごみ排出量 ㎏ 粗大ごみ収集量

/計画収集人口

『一般廃棄物処理実態調査』

一人当たり事業系ごみ排出量 ㎏ 事業系ごみ収集量

/計画収集人口

『一般廃棄物処理実態調査』

手数料の最小価格 円 手数料の最小価格 『各市町村ホームページ』

昼間人口比率 % 『国勢調査(1995,2000,2005,2010,2015)』

平均世帯人員 人 総人口/世帯数 『住民基本台帳に基づく人口,人口動態及び世帯数調査』

一人当たり所得 円 課税対象所得/人口 『市町村課税状況等の調』

(資料)「一般廃棄物処理実態調査」,「住民基本台帳に基づく人口,人口動態及び世帯数調査」,「国勢調査」,

「市町村課税状況等の調」より作成。

.4

.6

.8

1

N

o

rm

a

li

z

e

d

t

o

Y

e

a

r

-3

-4 -2 0 2 4

years to/from intervention

(11)

表2.記述統計量

変数名 観測数 平均値 標準偏差 最小値 最大値

一人当たり粗大ごみ排出量(kg) 672 16.220 12.551 0 49.819

一人当たり事業系ごみ排出量(kg) 672 115.480 76.385 4.245 449.964

一人当たり所得(千円) 672 1404.398 212.978 979.533 2142.67

平均世帯人員(人) 672 2.566 0. 245 1.929 3.429

昼間人口比率(%) 672 90.607 12.763 62.278 143.303

手数料の最低価格(円) 672 175.388 477.016 0 3000

1kg当たり排出手数料(円) 672 6.099 9.861 0 35.714

導入ダミー1 672 0.032 0.178 0 1

導入ダミー2 672 0.032 0.178 0 1

1年後ダミー 672 0.031 0.174 0 1

2年後ダミー 672 0.031 0.174 0 1

3年後ダミー 672 0.031 0.174 0 1

(資料)「一般廃棄物処理実態調査」,「住民基本台帳に基づく人口,人口動態及び世帯数調査」,「国勢調査」,

「市町村課税状況等の調」より作成。

表3.t検定の結果

コントロールグループの平均 トリートメントグループ

の平均

t値

昼間人口比率 90.675

(0.601)

90.452

(0.854)

0.209

[0.834]

平均世帯人員 2.612

(0.011)

2.462

(0.014)

7.585

[0.000]

一人当たり所得 1432.27

(9.317)

1341.34

(15.724)

5.201

[0.000]

(12)

表4. DID分析による推計結果(モデル1~モデル3)

モデル1 モデル2.1 モデル2.2 モデル3

被説明変数 一人当たり粗大 一人当たり粗大 一人当たり粗大 一人当たり粗大

ごみ(対数) ごみ(対数) ごみ(対数) ごみ(対数)

説明変数

1kg当たり手数料 - 0.307 ** - 0.345** - 0.325** - 0.393**

(対数) (5.12) (5.61) (5.59) (6.05)

昼間人口比率(%) 0.018 0.016 0.019 0.015

(0.49) (0.46) (0.54) (0.43)

平均世帯人員(人) 1.491 1.346 1.366 1.241

(1.76) (1.64) (1.67) (1.58)

一人当たり所得(千円) - 0.001 - 0.001 - 0.001 - 0.001

(1.54) (0.93) (0.83) (0.55)

導入ダミー1 0.589** 0.683**

(3.83) (3.75)

導入ダミー2 0.755**

(5.39)

1年後ダミー 0.407**

(4.06)

2年後ダミー 0.175

(1.22)

3年後ダミー 0.134

(1.10)

年度ダミー あり あり あり あり

定数項 - 0.558 - 0.883 - 1.316 - 1.097

(0.10) (0.17) (0.26) (0.22)

R-squared 0.54 0.57 0.58 0.57

サンプルサイズ 672 672 672 672

(注)1)( )内の数値は標準誤差である。

(13)

表5. DID分析による推計結果(モデル4~モデル7)

モデル4 モデル5 モデル6 モデル7

被説明変数 一人当たり事業 一人当たり粗大 一人当たり粗大 一人当たり粗大

ごみ(対数) ごみ(対数) ごみ(対数) ごみ(対数)

説明変数

1kg当たり手数料 0.036 - 0.319** - 0.334**

(対数) (1.02) (5.27) (6.31)

最小価格 - 0.176**

(対数) 5.85

昼間人口比率(%) 0.018 0.012 0.017 0.015

(1.21) (0.36) (0.46) (0.49)

平均世帯人員(人) - 0.963* 1.126 1.487 1.819

(1.46) (1.42) (1.74) (1.73)

一人当たり所得(千円) 0.001 - 0.001 - 0.002 - 0.001

(1.58) (1.11) (1.60) (1.31)

導入ダミー1 0.605**

(3.87)

導入前ダミー - 0.210

(1.47)

年度ダミー あり あり あり あり

定数項 -3.533 - 0.207 - 0.375 -1.733

(1.30) (0.04) (0.07) (0.33)

R-squared 0.07 0.57 0.54 0.62

サンプルサイズ 672 672 672 640

(注)1)( )内の数値は標準誤差である。

2)**,*はそれぞれ有意水準1%,5%水準で有意であることを表す。

(14)

表6.有料化導入時期

市町村 導入年 月 市町村 導入年 月

八尾市 2013 羽曳野市 未導入

大阪市 2006 門真市 2008 4

岸和田市 2002 摂津市 未導入

豊中市 2006 10 高石市 2007 1

池田市 2006 藤井寺市 未導入

吹田市 未導入 東大阪市 未導入

泉大津市 2004 泉南市 2008 4

高槻市 未導入 四条畷市 未導入

貝塚市 2002 12 交野市 未導入

守口市 2007 12 大阪狭山市 1997 2

枚方市 2002 4 阪南市 2008 4

茨木市 未導入 島本町 1978 6

泉佐野市 2006 4 豊能町 2011 4

富田林市 1997 2 能勢町 2003 10

寝屋川市 1979 9 忠岡町 2007 10

河内長野市 1997 2 熊取町 2007 10

松原市 未導入 田尻町 2006 7

大東市 未導入 岬町 2008 4

和泉市 2005 10 太子町 1997 2

箕面市 2003 10 河南町 1997 2

柏原市 未導入 千早赤阪村 1997 2

(15)

参考文献

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(16)

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参照

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